Seeking after truth ll
ゴッドファーザー Part lll
◇THE GODFATHER,PARTlll 1990年 アメリカ
監督 フランシス・F・コッポラ
出演 アル・パチーノ アンディ・ガルシア
◇THE GODFATHER,PARTlll 1990年 アメリカ
監督 フランシス・F・コッポラ
出演 アル・パチーノ アンディ・ガルシア
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シリーズ完結編。舞台は1990年。ドン・マイケルは、慈善事業の功績に対してバチカンより叙勲の日を迎えた。
叙勲式に元妻ケイ、娘メアリー、息子アンソニーを招き、華やかな式での再会から物語は始まる。
マフィアとしての仕事はもはや彼の仕事ではなく、今は経済界に君臨していた。マイケルは、ファミリーのビジネスを合法化しようと考えていたが、それを阻止しようとする身内の反発で内部抗争が勃発してしまう。
髪は短く、そのほとんどは白髪で、そしてその眼差しに鋭さは消えて、切なく淋しげに見えるマイケル。
サングラスを掛けることが多くなってきたのは表情を隠せなくなってきたから?
こんな映画も珍しい。
明らかにメイクとわかる老け顔ではなくてそのままとは言えないかもしれないけど、年を重ねていったマイケルを目の当たりに出来るのです。
パーティの来賓や親戚たちにも、それは言えることなのです。随所に前の二作を思い起こさせるシーンやエピソード。
記念撮影や、勲章をモチーフにしたケーキを運んでくるパン屋が登場するシーンも深い感慨が。
あのパン屋はビトーが撃たれて病院にいる時、マイケルとともに病院の入り口を守りながら、震えていた人だし、
美しい双子姉妹や、テレサ、サンドラもいます。トム・ヘイゲンがいないのが寂しいですが。
この映画は「償いの映画」とコッポラが言っているそう。
マイケルはファミリーを守るために血を流させる事を厭わなかった、これは彼の信念だったけど、その代償は孤独。
そしてそれ以上の報いがマイケルを襲うのです。そしていつまでもファミリーに影を落とす兄殺し…。
ローマ法王庁、バチカン銀行をバックに据え、今やマイケルは、合法的な権力の頂点に。これは亡き父ビトーとマイケルが長年望んできた事。
リトル・イタリーの「ジェンコ・オリーブオイル」から40年のファミリー。今はすっかり形を変えたはずなのに、マフィアの影は存在している…。
そしてソニーの私生児、ヴィンセントが登場。父譲りの気性とプレイボーイぶり、マイケルの持つ情熱と残忍さ、トム・ヘイゲンの知性を併せ持つ男として描かれてます。アトランティックシティでの襲撃事件ではその力量に注目を。
キッチンでの「会合」。何度か見てきたシーン。
書斎でのミーティングとは違って私はこのキッチンのシーンが好き。同じキッチンではないけど、クレメンザが料理をしていたり、ソニーがつまみ食いをしていたり、ケイとマイケルの冷たい再会があったり…。
でもこのPARTlllでのキッチンはとても寂しい。アル・ネリはマイケルとともに幾つのキッチンを見てきたんだろう。
心に残るシーンは、枢機卿に懺悔の時間を与えられたマイケルのシーン。
ピンクの薔薇に囲まれて、鐘が鳴り響きとても美しいシーンなのに、とても苦しく、心が痛くなる。マイケルの信念が彼を孤独にし、彼を虚しくしてしまった…。
そしてヴィンセントが三代目ドンを継承するシーン。再び血の復讐劇が始まる。ああ。
自分の道を歩き始めたアンソニーの晴れの舞台も復讐劇。それが平行して描かれているので、とても不安で恐ろしいです。
そしてとても美しく完成されたシーン。マイケルを思えばもう、永遠に終わらせて欲しいと思うんですが、映画として、特にマフィア映画としては最大の見せ場となりますね。
この三部作の中でも、PARTlllは最も好き。それは今でも変わらないです。もちろん、前の傑作の二作があってこそなのですよ。
PARTlllは名作「ゴッド・ファーザー」前二作の超豪華番外編という気がします。
ヴィンセントにも、もう一言触れておきたいです。胸毛の話ではないです(笑)
アンディ・ガルシアは、上目遣いで射るように相手を見つめる強い目が素晴らしく美しいですね。濃い睫毛に縁取られた、とても魅力的な目。そして、笑顔よりも口を真一文字に結んだ硬めの表情が素晴らしいです。
ドン・ビトーのような面も持っているけど迷いや憂いはなく、彼の信念には曇りがありません。マフィアらしいスタイルがとてもよく似合います。革のジャケットもいいけど、やはりイタリア製スーツが似合いそう。
メアリーとの恋も胸が締めつけられるストーリー。とても好き。
私はただの観客の一人に過ぎないけど、長年に渡るファミリーの歴史の目撃をしたような気持ち。主人公マイケル・コルリオーネの存在は、ことの他愛着が湧き出してきてPARTlllは特別な愛情を持って見てしまいます。映画の登場人物をこのように感じてしまうのは不思議な気持ちがあります。
END.